[2012.9.21-23]野生動物との共生を探るエコツアー
ブナの原生林が広がる世界遺産・白神山地へ。山の恵みゆたかな季節に、狩猟採集の伝統を守り伝えてきたマタギ小屋やトウモロコシ農家を訪ねます。
何百年も続く自然の営みが作り上げた広大なブナ原生林と豊かな生態系を擁する世界自然遺産の山・白神山地。 とりわけ、秋の白神山地と津軽富士“岩木山”は、深い緑と躍動する命に恵まれ、自然が語りかけてくるような季節です。
冬の白神山地をめぐった 1月のツアーに続き、秋まっさかりの「野生動物との共生を考えるエコツアー」では、白神におけるマタギ文化伝承の第一人者、「白神マタギ舎」の工藤光治さんのマタギ小屋を訪ねます。
工藤マタギは、マタギの風習・知恵そして精神を受け継ぎ、青森県西目屋村で生業を続けています。自然を捉えるマタギの目線で、知られざる白神山地を案内します。マタギの自然との付き合い方を手がかりに、野生動物と私たち人間との共生・共存の道を探ってみましょう。
ほか、西津軽地方の古くから営みや現在の地域特産トウモロコシ農家の現状から、野生鳥獣被害と人間の関係を探ります。
マタギの自然への慈愛あふれるお話、地域の方との交流にもご期待ください。
レポート |
実りの秋を迎えた世界遺産、白神山地。冬のマタギツアーに続き、今回もマタギの工藤光治さん、岩木山自然学校の高田敏幸さんに白神の山を案内して頂きました。保護運動の舞台となった青秋林道のさらに奥の道なき道を行くのでした!
素人の目ではわからないフィールドサインや、戦前からの歴史を聞くことが出来たり、食べると元気になる“トチバニンジン”、絶対に切れない紐が作れる“イラクサ”、「12人で山に入ってはいけない」という言い伝えなど、たくさんの知恵を教えて頂きながら歩くブナ林はまさに宝の山でした。
15歳にマタギの見習いになった工藤さん。お父さんもマタギだったが、親子で同じ班にならないのが決まりだった。 昔も銃はあったが、当時の村田銃は“宝くじよりも当たらない”と言われる代物だったため、銃を使い始めたのはしばらくたってからのことで、それまでは槍でクマを仕留めていたといいます。
立派なカツラの木を見ることもでき白神の自然の豊かさを感じる反面、「最近、白神のイヌワシは岩木山にエサをとりに出張する。」と語る工藤さん。拡大造林からの影響、雪の減少による影響。ウサギもだいぶ減った、ムササビも減った、テンも減った・・、と白神山地の異変についても話してくださいました。
白神を後にし、獣害被害を受けている農家さんのもとへ向かいました。テレビでも取り上げられた甘~いトウモロコシ“嶽キミ”(ダケキミ)。畑を1ヶ月かけてグルッと張った熊よけネットとサルよけの電気柵。「おかげでクマ被害は出ていないが、サルはずる賢く、被害がヒドイ。」と語る佐藤さん。女性や子ども相手では怖がらず、襲われる被害も出ている実態を知りました。
また、今回は少人数だったため沢山のスポットを見学することが出来ました。写真は平成28年完成予定の「津軽ダム」。ものすごい迫力ですが、これは昭和35年に作られた目屋ダムの上に更につられているダムで、工藤さんは2度の立ち退きをしなければなりませんでした。
他にも、田舎館村の地域おこしイベント「田んぼアート」や、三内丸山遺跡、岩木山展望台から津軽海峡・北海道を眺めることが出来ました。
2泊3日はあっという間でしたが、獣害などの地域の課題から白神の自然や素敵な人たちに出会うことが出来た濃い3日間でした。日本エコツーリズムセンターはこのほかにも「野生動物インタープリター研修」や「ジビエシンポジウム」などの開催を通じて野生動物との共生についてとりくんできます。
★『野生動物との共生を探るエコツアー:世界遺産白神山地マタギから学ぶ生き方暮らし方《秋編》』★
【内容】
【1日目】
・津軽人の心のよりどころ津軽富士“岩木山” ‐信仰と自然と人との係わりを探る
【2日目】
・マタギの工藤光治さんとフィールドワーク白神山地の森を歩く
マタギ小屋から白神と人の関わりを学ぶ
・白神山地ビジターセンター 見学
【3日目】
・岩木山ブランドトウモロコシ“嶽キミ”農家視察
農家からサル獣害など現状のお話/トウモロコシの収穫体験
※天候などにより変更になる可能性があります。
【ゲスト】工藤光治氏(白神マタギ舎)、高田敏幸氏(NPO法人岩木山自然学校代表)
【日時】2012年9月21日(金)13:00〜23日(日)15:00 2泊3日
【場所】岩木山麗温泉ペンションワンダーランド泊(青森県弘前市)
【集合】JR新青森駅:21日13:00集合
【解散】JR新青森駅:23日15:00解散
【定員】15名
【申込締切】9月20日(木)
【費用】《エコセン会員》38,000円/《一般》39,000円
(宿泊、食事5食込み。3日目昼食代別。)
※現地までの往復交通費は各自ご負担下さい。
【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-5834-7966 FAX:03-5834-7972
※このツアーは一般社団法人セブン-イレブン記念財団の公募助成を受け、日本エコツーリズムセンターと岩木山麗温泉ペンションワンダーランドの共催で実施しています。