[2011.05.11]エコツアーカフェ神戸30
ゲスト:鈴木 武 さん
(兵庫県立人と自然の博物館 研究員)
近代リゾート発祥の地として知られ、また神戸の人々がいつも目にしている山・六甲山。私たちにとってなじみの深いその六甲山は、明治期に博物学史上に残る新発見のあった場所でもありました。今回は、その世紀の発見と現代にまで続く研究ストーリーから、知っているようで知らない六甲山の姿を再確認します。
明治の開国以来、神戸を訪れ食・スポーツ・レジャーなど、様々な分野で新しい文化を発展させてきた多くの外国人の中には、日本の生き物に大きな関心を寄せる人たち もいました。彼らにとって非常に興味深い場所でもあった六甲山で、1904年(明治37年)、イギリス人冒険家リチャード=ゴードン=スミスが2匹のネズミを捕まえます。この標本は彼の母国の大英博物館に送られて新種と認定され、「スミスネズミ」と名づけられました。
今回のエコツアーカフェでは、六甲山系の生態系に詳しい『兵庫県立人と自然の博物館』研究員である鈴木武さんをお招きして、絶滅したと思われていたこのスミスネズミ再発見の話や、スミス氏の活動などを中心に、生物多様性の高い六甲山にスポットをあてたお話を伺います。これできっとまたひとつ、六甲山での楽しみが増えますよ!
【すずき たけし】1962年生まれ。東京大学大学院 理学系研究科博士課程単位取得。1993年より、兵庫県立人と自然の博物館の研究員として、主に六甲山系の生態系・動植物を調査・研究。
今回のゲストは、兵庫県立人と自然の博物館研究員の鈴木 武さん。六甲山での発見が世界初となった野ネズミ「スミスネズミ」の生態を始め、発見者リチャード・ゴードン・スミスの人柄や当時の時代背景、近年のスミスネズミ談などを、写真のみならず剥製や捕獲用の罠なども紹介しながらお話しくださいました。
生まれて初めて見るネズミ捕り用わなを触って「ネズミの体重で(扉が)落ちるんですか!?」など、みなさん興味津々。一口にネズミと言っても種類が複数あることを、ピーターラビットの童話を引き合いに出すなどして、わかりやすく説明してくださいました。
また、六甲山の生き物として、これも有馬で初発見された大型のカタツムリ「ギュリキマイマイ」の生きた標本も登場。
さすがに「博物館でみんなに触られているから人に慣れている」だけあって、手から手へと移されても物怖じせず動き続ける軟体動物に、特に女性参加者がメロメロになる場面も。
近くの山でも知らないことがいっぱい、これは皆同じ。質問もたくさん飛び出し、参加者の関心の高さが伺える会となりました。
★エコツアーカフェ in 神戸★
「六甲山と“スミスネズミ”」
【ゲストスピーカー】鈴木 武 さん(兵庫県立人と自然の博物館 研究員)
【日時】2011年5月11日(水)18:30-20:00
より大きな地図で エコツアーカフェ in 神戸(モンベルクラブ 神戸三宮店) を表示
【参加費】500円(飲み物付)
【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-5834-7966 FAX:03-5834-7972