[2012.10.10]エコツアーカフェ神戸42
クリエイティブな力の行方~KIITOの可能性~
永田 宏和さん(デザイン・クリエイティブセンター神戸 副センター長)
プラス・アーツの設立者で、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)副センター長にも就任した永田さんの今回のお話の中心は<地域>。
今回のお話の中心は<地域>。
人がいる場所、誰にとっても大切なものである/あってほしい、地域。そこにある「ああしたい、こうなれば」に<そうぞうの力>を投入することで、当事者意識を育て、住む人がもっと関わりたくなるような地域を目指す取り組みと、その活動へのお誘いを込めたお話です。
「イザ!カエルキャラバン!」 「ネイチャーアートキャンプ」、「大日六丁目商店街活性化プロジェクト」、「Cアートカプセル」、「レッドベアサバイバルキャンプ」、「ふれあいオープン喫茶」, ご存知のある方も少なくないのではないでしょうか。
「防災」をキーワードに行う永田さんのプロジェクトは、どれも楽しみながら学べ、身の回りの人や環境と自分を結びつけるきっかけとして、神戸近郊を中心に各地で開催されてきました。
阪神淡路大震災の際、地元でもある被災地にかけつけることが出来ず、やりきれない思いとともに自分の果たすべきは何なのかと問い続けて見えた答えが、「防災の意識とそのあり方を地域の人たちに伝えていく」ということでした。
それまでの経験と、間接的な震災体験を織り交ぜて、新しくて現実味のある「地域のあり方」への取り組みが始まりました。そして今年、永田さんは神戸市に新しくできた デザイン・クリエイティブセンター神戸(通称KIITO)の副センター長に就任され、地域のあらゆるものにデザインやそうぞう(想像・創造)で磨きをかけ、新たな魅力や活力を生み出す取り組をされています。 今回のエコツアーカフェを通じて、ご近所さんから神戸という街まで、皆さんの<地域>に新しい視点を向けていただくきっかけになればと思います。
【ながた ひろかず】大学院修了後、総合建設業を経て 2006年[NPO法人プラス・アーツ設立、理事長就任。 同年、[株式会社iop都市文化創造研究所設立、代表取締役に就任。 2005年楽しく学ぶ防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」を開発、 全国及び海外に展開するほか、 水都大阪2009メイン会場「水辺の文化座」の企画及び運営を担当。 2012年デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)の 副センター長に就任。
10月は、防災教育や、まちづくりなど、社会の様々な課題に取り組む活動を展開する永田宏和さんをゲストに迎えたエコツアーカフェでした。
今私たちが身の回りで抱える、様々な社会の課題・・・ それに、新しい何かを創り出すこと=『<クリエイティブ>な力』を プラスすると・・・
そんな、永田さんの熱いお話。 例えば…私たちにとって、なくてはならない病院。 そこで過ごす時間の質は「必要最低限」でいいの?
<夢の病院をつくろうプロジェクト> 入院治療を受ける小児がん患者とその家族に より質の高い治療”生活”を、という支援プロジェクトです。 どれぐらい「夢」かというと・・・
「入院」ではなく「お向かいに専門施設がある家」に住んで 治療を受けながら生活をし、その家では みなさんの家がそうであるように家族が一緒に住み、 季節によってカーテンをかけ替え、窓の外には緑がある。 治療中でも、心まで患者にはなりたくない。 院内の治療衣やスリッパだって、楽しいものがいい!
ただ治療のための滞在ではなく「あたりまえ」の暮らしの中で受ける、 限りなくストレスフリーな治療。 これが、さまざまな壁を越え、もうすぐ現実のものになります。
日本で初めて、かつ後に続く夢の病院のモデルとなる小児がん専門施設が、 神戸・ポートアイランドに来年オープン!
この病院が、いつか日本のあらゆる病院のスタンダードになるかもしれない。ぜひウェブサイトで共に夢を実現させましょう!
また例えば… いつかやってくる、と意識には置いている災害。 いつかわからないから必要な備え。 でも、儀式的な防災訓練では切実さも感じられない。 でも、やっぱり必要・・・それなら、 <イザ!カエルキャラバン!> 2005年に始まって以来、 全国はもちろん、海外(アジア、中米)にも広がっている 楽しい防災訓練です。
おもちゃの交換会がベースのこの企画、 ①ほしいおもちゃはポイントと交換→②防災の知恵や技を学ぶいろんなアクティビティに参加するとポイントがもらえる→③何回も参加!→④自然に防災時の対応や備えが身に付く!
子供はもちろん、身近なモノを使ってこの場合どうする?に挑戦するのは、大人にもとっても楽しめる仕掛けです。
永田さん曰く、「防災をテーマにした新しいお祭」。 お祭に参加して楽しんで、いざというときにどうする?何が必要?が 身に付けば、これに勝るものはないですよね。このほかにも、子どもたちが自分たちでお店をつくりあげる夢のまち <KIITO ちびっこうべ> では、現役の建築家、シェフ、デザイナーと一緒に本格的なお店を作ることで、子どもたちが社会の仕組みや仕事について楽しくかつ真剣に学び、自分の将来像を描く大きな一助となっていたり、
アーティストと子どもが一緒に作る文化祭のような <ネイチャーアートキャンプ>では、森で発見したものと自分たちの想像力をフル稼働させてレストランを作ったり、自然の地形を生かして音響に利用し、お客は谷間の池の上、という奇想天外な手作り楽器コンサートを開いたり。 キャンプという時間を一緒に過ごし、創意工夫と真剣勝負で得るからこそ価値のある「こんなにできた!」の感動。
子どもの頃に力を合わせて真剣に取り組んで結果を出した、この体験は、その子本人の将来だけにとどまらず、その地域の将来をも動かすものになるはずです。
いくつも紹介される活動の実際と永田さんの思いを聞くにつれ、 まちづくりは暮らしづくり、ちょっと先の未来づくりなんだ!と納得。
誰もが無関係ではないにも関わらず、 焦点が当たりにくい課題はたくさんありますが、 解決のために「クリエイティブな力」が限りない可能性を秘めている、 という永田さんの言葉に、その通りだなぁ、と心にしみました。
★エコツアーカフェ in 神戸★ 「クリエイティブな力の行方 ~KIITOの可能性~」
【ゲストスピーカー】永田 宏和さん(デザイン・クリエイティブセンター神戸“KIITO” 副センター長)
【日時】2012年10月10日(水)18:30-20:00
より大きな地図で エコツアーカフェ in 神戸(モンベルクラブ 神戸三宮店) を表示
【参加費】500円(飲み物付)
【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-5834-7966 FAX:03-5834-7972