[2009.07.02]エコツアーカフェTOKYO19
ゲスト:粕谷芳則氏(日本クラインガルテン研究会事務局長)
都市部に住みながら自分の農園を楽しむ「クラインガルテン」。粕谷芳則さんによれば、クラインガルテンの本場ドイツでは20人に1人が現地のクラインガルテン協会の会員で、夫婦や家族でごく当たり前に自分たちが食べる野菜を作っているのだとか。
今回のカフェではクラインガルテンの楽しみ方はもちろん、クラインガルテンを通して見る世界と日本の文化の違いや、普及活動から感じた自然と人間、地域活性化についても学ぶ機会となりました。
粕谷さんに見せていただいた本場ドイツのクラインガルテンのスライドは、まるで絵本のようにかわいらしいものでした。そもそもクラインガルテンは産業革命時の英国で食糧自給を目的として始めたのが起源。自分の家からごく近い位置にあり、敷地の中にはラウベと呼ばれる小屋があるのが特徴です。クラインガルテンは「小さな庭」という意味ですが、土地(1区画300平方メートル)も小屋(24平方メートル以下の小屋)も家族で楽しむには充分なスペースで、一つの公園のようでした。ラウベ内は家のリビングのように居心地よく、ドイツの人々はクラインガルテンを中心にコミュニティを作っているそうです。
生産性を追及する必要がない手作りの農園では有機栽培が行われているのはもちろん、最近では水やりのために雨水を集めたり、ラウベ内の暖房に太陽光を利用する“エコロジークラインガルテン”(!)というムーブメントも出てきています。更に環境を追求したクラインガルテンが本場にはあることがわかりました。
一方、日本のクラインガルテンは、滞在型・週末型・都市型など人々のニーズによって様々な形で普及しています。ドイツに比べるとやはり規模はそれほど大きくありませんが、農家の方が団地住まいの人に農地を貸しているところもあるそうです。長野県のものにはラウベ付きのものもあり、スライドでは楽しく農作業をやっている様子が見られました。
日本のものの多くは都会でなく地方にあるのですが、やりたい気持ちで誰でも始められるため、一般の人が地方都市に触れ、地方の良さを再認識する良い機会になります。また、最初から自分で作物を作ることで「食」や「農」に対する意識を変えるきっかけにもなるそうです。
しかし、私達の町を見ていてもわかる通り普及はまだまだ進んでいません。国からの補助が必要なため、需要に供給が追いつかないのだそうです。土地を農園にするだけでもお金がかかってしまいます。「日本の市民農園をヨーロッパのものと同じ様に広めたいが、難しいのが現状」と粕谷さんは話していました。
今回のカフェでは「市民農園」というものには、「日々の楽しみにしている人」「運営している人」「地域の活性化に役立てている人」がいて、ちょっと視点を変えるだけで様々な使い方があるのだと学びました。カフェの参加者から1人、2人と市民農園が広がっていき、日本でもドイツのように制度化され街に緑が増え、行く行くは市民農園により地方の価値が再発見される日が来るといいなと思いました。(事務局・馬場美衣)
ドイツ・ミュンヘン市のクラインガルテン
茨城県笠間市の滞在型市民農園
★エコツアーカフェTOKYO★
クラインガルテンを手に入れる!
市民農園の楽しみ方
【ゲストスピーカー】粕谷芳則氏(日本クラインガルテン研究会事務局長)
【日時】2009年7月2日(木)19:00-20:30
【場所】モンベルクラブ 渋谷店 5F
東京都渋谷区宇田川町11番5号 モンベル渋谷ビル
*モンベルクラブ 渋谷店は渋谷東急ハンズ向かいにあります。
【参加費】500円(飲み物付)
【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-6457-3952 Fax:03-6457-3951