[2009.09.03]エコツアーカフェTOKYO21
ゲスト:西直人氏(リードクライム株式会社代表取締役)
環境系の仕事をしたいと思っている人、必見のエコツアーカフェ。環境教育や環境コミュニケーション事業を企画・プロデュースするリードクライム株式会社代表取締役の西直人さんをゲストに迎えました。
“エコ”という言葉を耳にしない日がない昨今、環境関係の仕事をしたいと思っている人は多いはず。エコツアーガイドや自然学校へ“就職”する人も増えてきています。“環境を仕事にする”ってどういうことなんでしょうか?
今回は、環境教育や環境コミュニケーション事業を企画・プロデュースするリードクライム株式会社代表取締役の西直人さんをゲストに迎え、参加者の皆さんとプチ企画会議を開催しました。
【にしなおと】96年から北海道においてホテルのアウトドア事業部門の立ち上げに従事し、ソフトコンテンツの開発、自然体験修学旅行の誘致、エコツアーガイドなどを行う。00年から企画会社ワークショップ・ミューに参画し、環境教育や環境コミュニケーション、市民社会づくりなどをテーマに企画・プロデュースを行う。03年からフリーランスのプランナー、06年リードクライムをたちあげ現在に至る。
今回のゲストの西直人さんは、愛知万博「森の自然学校・里の自然学校」の運営マネジメントや、横浜開港150周年記念イベント「開国博Y150」で市民創発事業のチーフ・ファシリテーターを担当した人。そんな西さんの仕事は、一言で言うと「環境コミュニケーション」。市民団体やNPO、企業、行政が持続可能な社会を目指す活動を行う際には、パートナーシップやコンセンサスが必要になります。そこで不可欠になるのが「双方向のコミュニケーション」で、西さんはその活動支援やコーディネイトを行っています。
西さんが環境に関心を持ったきっかけは、子どもの頃大好きだった故郷の自然が開発されていく姿を見て、何とかしたいと思ったこと。現在の仕事に就いたのは、社会に出てさまざまな仕事を経験するうちに「結局残せるものは人で、大事なのは人づくり」だと感じたからだそうです。
市民による環境活動が盛んに行われている昨今ですが、個々の活動には課題も多いのだとか。西さん曰く、「市民の皆さんは活動への思いや熱は非常に強いのですが、それを第三者に情報発信するのがあまり上手くないことが多いんです」。活動はその中で完結してしまうのではなく、外向きに広がりを持たせていくことが大事。だから西さんは、活動主体の市民に第三者に向けて発信する「視点」を持ってもらい、広報上のアドバイスもしているのだそうです。
また、市民団体の多くが抱える課題であり、西さんが重視するのが、活動の「継続性」です。そう語る西さんは、市民団体が企画書をつくる時点から、企画書の書き方や活動の運営手法など、さまざまな面からサポートを行っているのだとか。これまでに関わった市民活動や市民イベントでも、西さんは参加する市民にイベント後の活動の継続を促しています。「各々の活動がこのお祭りが終わって、そこで解散してしまってはダメなんです。これをきっかけに、持続的に活動できる「人」を増やしていくことが一番大事ですから」。
「環境の仕事」というと何か特別な仕事のような気がしますが、西さんが言うには「利益を出してビジネスにするという点は、環境も他の分野とあまり変わらない」のだそうです。ただ環境の仕事で特徴的なのは、圧倒的に「当事者の分野が多岐にわたる」こと。普通のビジネスは、顧客が一般消費者だったり、ある業種の特定企業だったりします。ところが、環境の仕事では、市民やNPOから、行政、企業、学者まで、本当にさまざまな人が絡んできます。だから、この仕事で特に求められるのが、「それぞれの立場を理解して、それぞれの喜ぶツボを押さえながら、それに応じた対応をすること」なのだそうです。
カフェの後半では、西さんと会場の参加者が一緒になって「プチ企画会議」を行いました。4〜5人一組のグループに分かれて、「エコツアーの価値体験」と「東京が好きになる!」をコンセプトにしたエコツアー企画のアイディアを出そうというワークショップです。西さんは企画の方向性をわかりやすく説明した上で、「アイディアを出すときは、どんな無茶なものでもおふざけでも良いから、どんどん膨らますことが大事です!」とアドバイス。
ワークショップは、時折笑いも起こり、終始和やかに楽しく進みました。個性的なアイディアが続出する中で、特に秀逸だったのが例えばこんな企画。『東京、誰にも会わないエコツアー』。提案者曰く「普段東京の街を歩いていると絶対誰かに会います。そこで、東京で本当に誰一人にも会わないでツアーがあったら面白いのでは?」ということでした。最後には、参加者のアイディアを付箋に書いて、西さんにお渡ししました。
参加者からは、西さんの環境に対する「切り口」や「視点」に感心する声や、「プレゼンの方法・組み立て方」、「ワークショップの運営」など、今回のカフェそのものの運営が非常に参考になったという声もありました。私自身も、環境を仕事にするということの実像がつかめた気がして、大変有意義な時間を過ごせたと思います。そして何より「楽しかった!」という感想は、あの会場では満場一致だったのではないでしょうか。(事務局・久保隆史)
横浜開国博Y150市民創発事業での西さん
エコツアー商品開発に携わった北海道ニセコ
愛知万博では森の自然学校・里の自然学校の運営をマネジメント
★エコツアーカフェTOKYO★
環境を仕事にする!
【ゲストスピーカー】西直人氏(リードクライム株式会社代表取締役)
【日時】2009年9月3日(木)19:00-20:30
【参加費】500円(飲み物付)
【場所】モンベルクラブ 渋谷店 5F
東京都渋谷区宇田川町11番5号 モンベル渋谷ビル
*モンベルクラブ 渋谷店は渋谷東急ハンズ向かいにあります。
【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-6457-3952 Fax:03-6457-3951