[2012.04.12]エコツアーカフェTOKYO45
教えて、猟師さん!狩猟を活かす田舎暮らしの秘訣は?
「田舎暮らしをするうえでは地元の人々に何か一つ役に立つ技術を持っていこう。」と獣害対策の為の狩猟技術を持って田舎に移り住んだひとりの中年男。
畑を耕し、渓流釣り、養蜂の師匠を得て自然に暮らす。山の恵みをいただくフィールドレポート!
今、里山ではシカやイノシシなどの獣たちによる農業などへの被害が広がっています。鼻を使って畑を掘り返すイノシシ。畑に種を蒔いたそばから、その種を拾って食べるサル。どれだけ柵を張りめぐらせても、網を破ってシカが侵入し、樹木の皮を剥ぎ取り、下草を食べつくし、生態系にも影響が出ています。
これらの野生動物たちを「害獣」ではなく、山の恵みとして受け取って、動物と人間の新たな関係を築いているのが、この虎谷さんをはじめとした狩猟者たちです。
自然が好きで大切だから。大地の恵みを受けて生活したいから。
約20年間の都内での有機農産物流通会社勤務ののちに、田舎での生活を始めた虎谷さんは、親しくしていた農家の獣被害をなんとかしたいという思いから、里山で暮らしていく手段として“狩猟”を選び、銃猟免許を取得。さらに、狩った獣をジビエとして積極的に活用し、「他の生き物の命を頂いて私たちは日々生きている」という気持ちで、自然と向き合っています。
現在進行形のフィールドでの体験から、シカやイノシシ猟の実際や狩りの現場でのエピソード、後継者不足にあえぐ現代の狩猟業や獣害問題の実情をご報告いただきます。
鹿肉を美味しく食べるには?猟師になって、まわりの友人や奥様、お子さんの反応は?など、気になる疑問にもお答えいただきます。ご参加をお待ちしております。
【とらたに・たけし】1965年生まれ。「地球のでこぼこをさまざまな手段で楽しもう!」をモットーに山歩き、シーカヤック、スカイダイビング、畑耕作など幅広く体験。約20年間有機農産物の流通会社「大地を守る会」勤務。契約農家さんとの交流の中で獣被害を知り、狩猟免許取得を決意。現在第一種銃猟免許とわな免許を取得し丹沢山系でシカ、イノシシを捕獲する狩猟グループに所属。狩猟技術を田舎暮らしの一手段と考え、自ら実践。2012年より東京を離れ群馬県榛名山麓にある農業法人に就職。栽培管理業務を行いながら畑にやってくる獣を山の恵みと捉え、獣の利活用も検討している。
シカやイノシシ、サルなど野生動物による農業被害、森林被害の報告が全国からあがっています。
今回はその“獣害”を逆手にとり、田舎の自給自足生活で米や野菜を得るように、“獣肉”を得てしまおう!と明るく前向きに里山の課題に立ち向かう、自称・中年猟師の虎谷さんに田舎暮らしと狩猟の生活をレポートいただきます。
普段、猟へ出かけるときのキャップとベストを着用して登場。このように目立つ色を身につけてないと、猟区では危険です。
群馬県の榛名山ろくに暮らす虎谷さん。ここは開墾された歴史ある土地でもありました。先人にならって、虎谷さんも入植し、自然の恵みを受ける暮らしを始めました。
20年間の有機農産物流通会社勤務ののち、今では群馬の地元の農業法人・くらぶち会に勤務しながら、丹沢をフィールドに猟師をされています。
前職での地元の食材を集めたフェアの一幕。食材は野菜や乳製品などに限らず、こうして“獣肉”を地域の食材とする考え方から、田舎暮らしの可能性を追求しています。
猟中のようすです。
近所にも、農家さんが獣害を防ぐために畑の周りに張り巡らせたトタン板の囲まれた畑にもイノシシが侵入した足跡が残されています。
わなを使った猟は、通勤前の早朝時間を利用するなど短時間で仕掛けから見回りまでが可能だといいます。その点で一日じっと獲物を待つ猟銃による巻き狩りよりも、初心者や兼業者におすすめです。わながかかったあとに暴れるため、肉質が落ちることが指摘されており、空き時間を利用して1日2回以上見回りをしたり、仕留め方など工夫が必要です。
箱わなは、中に米ぬかなどを置いておびき寄せます。獣にストレスをかけず、肉質を落とすこともなく、捕獲できるのが利点です。一度設置するとなかなか移動できないのが難点です。
このように狩猟を持続的に行なうには、わなや猟銃に関しての技術講習だけでなく、仕留め方や解体、肉の活用法なども知識や技術が欠かせず、伝承が強く求められています。
そして、食肉となった姿がこれです。手前がイノシシ肉、奥がシカ肉。猟期は限られていて、有効活用するには燻製にするなど保存食にしていくことも大事なポイントです。
大地の恵みをいただく、「とても“豊かな風景”ですよね。」
動物園勤務や環境コンサルタント、鷹匠の資格を持つ方など、バラエティ豊かな参加者が集まりました。
「猟師免許取得を考えてる人?」の問いには3分の1くらいの方が手をあげていました。
免許取得時の手続きや試験だけでなく、猟銃取得の手続き。実際、猟を続けていくときにかかる装備や器具、入猟費などの経済面のアドバイスなどもあり、猟師を目指す人の実用的な話もためになりました。
そのほか、肉の流通やサルとの付き合い方など、質問も活発に飛び出しました。
サルを畑から追い払うのに、農家の間でも重宝しているのが、“パチンコ”です。サルは人間に似ていて賢く、厄介な相手です。
虎谷さんが仕留めたイノシシです。頬が白く、純潔のイノシシだったそうです。獣肉は仲間と分け合い、近所でもおすそ分けしました。
これがそのときの銃弾です。解体したあとにイノシシのお腹から出てきました。命の重みと生態系のバランスを考えながら、虎谷さんはこれからも田舎で命をいただく猟を続けます。
教えて、猟師さん!狩猟を活かす田舎暮らしの秘訣は?
【ゲストスピーカー】虎谷 健氏(猟師/農業法人勤務)
【日時】2012年4月12日(木)19:00-20:30
【参加費】500円(飲み物付)
【場所】日本エコツーリズムセンター事務所
東京都荒川区西日暮里5-38-5 日能研ビル2F
※会場を渋谷から西日暮里に変更いたしました
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【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-5834-7966 FAX:03-5834-7972