[2012.05.22]エコツアーカフェTOKYO46
手軽!安い!早い!画期的!
“高倉式コンポスト”にチャレンジ
材料が簡単に手に入り、堆肥化にも時間がかからない、“高倉式コンポスト”がインドネシアや被災地の仮設住宅で活用されています。
その仕組みと活用例をお話いただき、その場で作り方を実演いただきます!
生ゴミを堆肥にすることができるコンポスト技術。
自宅で出たゴミを自分自身で処理することができ、循環型生活の手段として注目を集めています。
しかし、今までのコンポスト技術の「難解」「不明確」「プロセス説明が不十分」等を原因として、正しい理論が伴う技術の指導がほとんどなされていませんでした。また、コンポスト導入に伴っては専用の微生物、資機材等を取り揃えなければなりませんでした。
これに対し“高倉式コンポスト技術”はコンポストの原点に立ち返り、基礎理論をもとに特別な材料や機材を必要としません! 材料調達についてもどんな状況にも対応しうる柔軟性を持つ技術、その場での適正化が図れる技術として、海外や東日本大震災後の被災地の仮設住宅などでも大活躍しました。
誰もが“簡単”に“安い費用”で“素早く”取組むことができる技術であり、インドネシア国スラバヤ市での廃棄物減量化に大きく貢献した技術として高い評価を得ています。
今回のカフェでは、この技術と取り組みをみなさんにも取り入れていただけるよう 二人のゲストスピーカーにお話いただき、本当に手軽なコンポストづくりの実演をご覧いただきます。
【たかくら・こうじ】 1959年生まれ。兵庫県出身。環境化学分析一筋に打ち込むが、ある時大きく舵を切り、地域の方々とともにエネルギー・環境教育にも取組むように。手作りの実験器具を用いた実験教室を通じ、物事が起きる仕組みをできるだけ分かり易く伝えることを心がける。また、高倉式コンポスト技術なるものを開発し、国内外でのコンポスト技術指導にもエネルギーを傾注する。
【ふじき・ゆうこう】1955年生まれ、岩手県出身。1979年、電源開発㈱入社。火力、水力の保守管理業務、新規開発の調査、企画業務、民営化準備などの業務を経験。転勤11回。北海道、名古屋、岐阜、広島、九州と、多様な地域で勤務し、各地の 風土、風味を楽しませていただいている。2006年より秘書広報部勤務。
コンポストとは、“堆肥”のことです。
今回のカフェでは、ローコスト、ローエネルギーかつ“ローテク”ならぬ、“シンプル”・テクノロジーで現地の状況に適正化することができる、高倉式コンポストを実演いただきました。
自宅でそれぞれがコンポスト化することができれば
1.自宅で出る生ゴミを有効活用できる
2.自宅で出るゴミを減らして、ゴミ収集車の運搬費も浮く
3.良質なコンポスト(堆肥)ができれば、植物の成長に役立つ
と、いいことづくめです。
特に、北九州市やインドネシアでは、こ 専用の材料や機材もいらず、簡単な論理で堆肥化ができる“高倉式コンポスト”が広がっています。
お互いを、ドクター、キャップと呼び合う、若松環境研究所に勤め、このコンポスト技術の発案者である高倉さん(ドクター)と、J-POWERのCSR推進室の藤木さん(キャップ)のカフェは、掛け合い漫才のようにお話が進んでいきました。
インドネシアの廃棄物を3割減らしたという、高倉式コンポスト。 話題が話題を呼び、ある国では「いったいどんなすごい菌が日本からやってくるんだろう?」と思われるとか。 しかし、手にしているのは、一見して普通のもみ殻です。
使う容器も、スーパーにどこにでもあるような買い物カゴ。
もみ殻や、腐葉土・木くずが、菌が増殖するための寝床になります。
菌は、どこから手に入れるのかというと…納豆や味噌、ヨーグルト、キムチ、ラブレ(乳酸菌飲料)など。
これら台所での余りものの生ゴミが、上手に発酵することによって、堆肥になります。
理論もとても分かりやすかったです。
今では、高倉式コンポストを実践する住民からは“おゴミ様”といわれるほど 役立つ生ゴミ。しかしどのように、そのゴミを扱うかには、注意が必要です。
たとえば、同じ葉物でも、ほうれん草よりキャベツのほうが分解が遅い。みかんやバナナの皮はOK。大きな骨とトウモロコシの芯と皮、貝がら、割り箸、ビニールはダメ。でも、固いものでも卵の殻はOKです。
冷蔵庫で腐ったものは、大量だといけません。レンジでチンしてから、入れましょう。 とにかく一回500グラム以上はいれないこと。必ず一日一回まぜること。水分量は乾きすぎても、べちゃっとしすぎてもNGです。
堆肥をかき混ぜるときは、全体をよくかき混ぜるのがよいそうです。
「あと5時間あれば、生ゴミ堆肥の持っている可能性をもっと話せる」と、お二人は言います。
海外だけでなく国内でも技術が役立つときが来ました。藤木さんは岩手県出身で、昨年の東日本大震災のとき、地元出身者として、J-POWERとして、何ができるかと考えたときに、以前から既知だった高倉さんのコンポストに思い当たり、遠野エコネットさんと一緒に、仮設住宅でのコンポスト普及を始めました。
だけど、活動は順風満帆ではありませんでした。まず、スタートしたら、東北の厳しい冬が来て、コンポスト化が難しくなったこと。
何より、生ゴミ堆肥やりませんか?と声をかけても、ドアが開かない。
被災地のかたがたは、なかなか外に出たからない。コンポストそのものを知らない。参加者は増えませんでした。
でも! あきらめない!出来る方法を探します。
冬の寒さは、100円ショップなどで売っている布団・衣装ケースをカゴにかぶせて、しのぎます。そうすると、菌はゆっくりと増殖し、床に姿を現して、春の出番を待っていました。継続は力なり、を実行し、月に一回は必ず赴いて、信頼関係を築きました。
昨年末には、もともと、高倉さんの指導のもと、コンポスト化が定着していた北九州市の住民に呼びかけて、コンポストの提供をお願いしました。のべ40名、348キロも集まった堆肥を仮設住宅へ送ります。
すると、「こんなにいいものができるのか!」と、それまで興味を示さなかった人々が驚き、感動し、コンポストづくりに関るようになりました。
意識は変わって、取り組んでから、みなさんでゴミを“御ごみ様”と呼ぶようになりました。
納屋に容器を置くなど、寒さ対策も自ら考え、みんなで世話をするようになりました。
それぞれがどんな方法を試しているのか話に花が咲き、コミュニケーションも生まれていったのです。
そもそも生ごみの80パーセント以上は水分です。 水分を減らして、堆肥化に利用すれば、毎週のゴミ回収されることもなくなり、 ゴミ回収にかかる費用もエネルギーも、処理工場でのエネルギーもいらなくなり、 省エネにつながる、と藤木さんは最後におっしゃいました。
そして、生ゴミの可能性に触れながら、このコンポスト化技術が、 みなさんの「驚き、感動、笑顔」につながっていってほしいとあたたかなメッセージ。
そんな高倉さんの想いのとおり、ゲストスピーカーのお二人だけでなく、さまざまに声が飛び交い、協力し合ってコンポストづくりをして、驚き、感動、笑顔の生まれたカフェでした。
参考: 「生ごみコンポスト化の推進によるごみ減量のすすめ」「高倉式コンポスト」視聴覚教材(JICA九州)
手軽!安い!早い!画期的!
“高倉式コンポスト”にチャレンジ
【ゲストスピーカー】高倉 弘二氏/藤木 勇光氏(電源開発株式会社)
【日時】2012年5月22日(火)19:00-20:30
【参加費】500円(飲み物付)
【場所】日本エコツーリズムセンター事務所
東京都荒川区西日暮里5-38-5 日能研ビル2F
※会場を渋谷から西日暮里に変更いたしました
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