[2016.4.19]エコツアーカフェTOKYO87
福島県のいまと将来
震災から5年、鮫川村の山村からのメッセージ原発被害により、外で遊べなくなった福島県の子どもたちに自然体験の場を提供する活動「ふくしまキッズ」と、増え続ける耕作放棄地を都市交流によって打破する「都市交流ライフシェアリング」のこれまでとこれから。
2011,3,11東日本大震災から5年。テレビやメディアではここぞとばかりに、あの日の悲惨な津波被害や地震被害をピックアップし、防災の大切さを説いていました。節目の日にだけ思い出すかのような取り上げ方、毎日福島県で暮らす私たちからすると、「これが風化というやつなんだな。」、そんな感覚でした。人口約3600人の高齢過疎地の福島県鮫川村。そんな山間部の村で負けじと5年間活動してきた私たちの活動内容の紹介、そして福島県のこれからのことをお話しいたします。
(1)ふくしまキッズ
原発被害により、外で遊べなくなった福島県の子ども。そんな子どもたちを連れ、長期休みに全国で自然体験活動を行った。北海道、石川、岐阜、神奈川、長野、静岡、兵庫、京都、愛媛、長崎、熊本など日本全国で開催、さらにはドイツでも開催した。5年間13回の活動で累計4757名、最終報告会はニューヨークで開催した。一度幕を下ろしたが、今も活動は続いている。
(2)都市交流ライフシェアリング
放射能汚染により、人が近寄らなくなった福島県。高齢過疎地ではさらなる過疎化が進み、耕作放棄地や休耕田、荒れ果てた里山がどこでも見られるようになってしまった。そんな状況を打破するために都市との交流を続けている。若者を招き農林業で汗を流す。そんな交流が農山村を救うことになるかもしれない。
ライフシェアリング事業のチラシは コチラ
あぶくまエヌエスネットは、30年前に東京から移住した代表の進士徹さんが、福島県鮫川村に設立した自然学校です。
今回は特に力を入れている「ふくしまキッズ」と「ライフシェアリング」について伺いました。
福島に住み続ける人に希望を与えた「ふくしまキッズ」
ふくしまキッズは、2011年3月11日の東日本大震災直後の福島第一原発事故を受け、放射能汚染の影響で外遊びができなくなってしまった子どもたちを全国各地で受け入れ、目一杯外遊びの場を提供する活動です。同年7月から始まり、2015年8月までの5年間に計13回、約5,000人が参加しました。
「目の前で困っている人の力になりたい」と始めた活動。進士さんは、大きく5つの成果があったと振り返っています。
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生きる力
つながり
人生のターニングポイント
受け入れ地も元気になる。
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福島に住むお父さん、お母さんは、「福島を愛しているから、たとえ汚染があっても県外へ出たくない」「公務員なので福島から出られない」と、様々な事情をもっていました。
また、同時に外遊びをさせてあげられないわが子に「申し訳ない」という悩みや、子どもたち自身も、室内遊びに限界を感じストレスを多く抱えていました。
そんな中、学校の長期休みに必ず開催される「ふくしまキッズ」は、お父さんお母さん、そして子どもたちにとって“希望”となり「子どもに対して罪悪感があったが、救われた」、「年に1回のふくしまキッズが楽しみ」「放射能汚染は辛いが、やっぱり福島を愛している」と、たくさんの手紙が届きました。
活動へ否定的な人や困難もあったそうです。しかし、「困っている人を助けたい」という信念を“決意と覚悟”で乗り越え、「5年間は続ける」という目標と節目を2015年に迎え、ふくしまキッズは幕を下ろしました。 これからは、2016年2月1日に発足した「ふくしまキッズ運営協議会」が、第2ステージとしてこれからも継続していきます。
都市の人の往来が絶えないあぶくまへ
は、はれて研修生から社員になっただいちゃんにバトンタッチ。
少子高齢化や限界集落に頭を抱える他の地域同様、あぶくまもまた、にぎわいが減りつつあります。特に、震災がそれを加速させてしまいました。働き手の減少により、地域の維持が困難になりや耕作放棄地の増加で悪循環が起こっています。
そんな課題を笑顔で乗り越えようと2006年から始まったのが「都市と田舎の交流再生プロジェクト“ライフシェアリング”」です。
2015年は大豆編とお米編を開催し、大豆編は東京に事務所を構えるNPO法人夢職人に登録をしている中学生~30代の若者約70人が参加。お米編は一般募集で約40名が参加しました。
参加者は、
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「土嚢づくり、雑草取り、とにかく体を動かすことが楽しい!」
「大豆と枝豆が同じだと初めて知った」
「都会の忙しさから離れ、手作業で手間ひまをかけることがとても贅沢で有意義だった」
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と、いがいと素朴なところに多く感動していることが特徴。それは、都会での生活の日々で忘れていた、またはしたことがない体験に感動をしたり、日々の生活をみつめ直せたり、リフレッシュにつながっているのでは、と振り返ります。
また、参加経験があり、勝手のわかっている人はフリー編として、プログラム外で通うことができます。こうして、多くの人が往来することで、「新しいにぎわいとして活気が戻ることが夢!」と語りました。
お陰様で、5月の田植え編は応募が多いとのこと。 是非、みなさまもあぶくまへエヌエスネットの3人に会いに行ってみませんか。
★エコツアーカフェTOKYO★
福島県のいまと将来。震災から5年、鮫川村の山村からいまと将来を見ていく
【ゲストスピーカー】進士徹氏、伊藤千陽氏、伊勢野大吾氏 NPO法人あぶくまエヌエスネット
【日時】2016年4月19日(火)18:30-20:30
【参加費】700円 ※今回のみ200円値上げ
【場所】 モンベルクラブ 御徒町店
110-0005 東京都台東区上野3-22-6 コムテラス御徒町
【お問い合わせ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-5834-7966 FAX:03-5834-7972
【お申込み】下記のお申込みフォームまたは電話、ファックスでお名前、メールアドレス、ご連絡先電話番号を日本エコツーリズムセンター事務局にお知らせください。エコツアーカフェ終了後は食事をしながらの懇親会もあります(実費)。
進士 徹[しんし・とおる]NPO法人あぶくまエヌエスネット理事長
1956年東京生まれ、駒澤大学社会福祉専攻コース卒業後、社会福祉法人ねむの木学園に就職。結婚し子どもが生まれてから、親として子どもとの関わりが少ないことに疑問を感じ、31歳にして仕事を辞め、鮫川村に移住。田舎での暮らしを地元住民に教わりながら1から学びはじめて、まもなく30年。土・自然とともに暮らすことの大切さを日々学びながら、その輪を広げていく活動を行っている。
伊藤 千陽[いとう・ちあき]NPO法人あぶくまエヌエスネット職員
1984年三重県生まれ。富山大学大学院生物学専攻卒業後、環境省の箱根事務所に非常勤で3年間勤務後、福島県鮫川村に移住し、4年目を迎える。狩猟ガール。
伊勢野 大吾[いせの・だいご]NPO法人あぶくまエヌエスネット職員
1992年東京生まれ。首都大学東京情報通信システムコースを中退後、福島県に移住し2年目を迎える。