[2012.10.11]エコセンジビエガーデン「野生動物をいただこう」
「ジビエ」って知っていますか?獣害対策で獲ったシカやイノシシの肉を“ジビエ” としていただく取り組みが全国で盛んです!そこで、ジビエ料理に親しみながら獣害について考えるエコセンガーデンを開催。
今、里地里山では、野生動物による田畑・山林への食害や踏み荒らしなどの、いわゆる“獣害”が深刻な問題となっています。被害額は年間200億円にものぼり、日本全国の農林業従事者は悲鳴を上げ、山村の過疎化、里山の荒廃化、生態系の破壊に拍車をかけています。 そこでエコセンでは、問題解決の一手段として、食卓(胃袋?)から“獣害”に向き合い、狩猟によって捕獲された野生の獣肉(ジビエ)を味わうフォーラムを開催します。地域での野生動物との関係、問題に携わる第一線の実践者をゲストスピーカーに迎え、課題や対策事例を持ち寄った方々と共に、ワールドカフェ方式で野生動物とのこれからの共生を論じていきます。
●ジビエ料理とは●
“ジビエ”とは、狩猟によって得られた野生の肉のこと。
料理家の添田美穂子氏を迎えて、野生の味を活かした調理法で、牛豚鳥肉にひけを取らない深い味わいを楽しむことが出来き、ワイルドかつ「野生獣肉は固くて味がない」というイメージをくつがえす、料理を堪能いただきます。
●獣肉、皮革を活用●
また、肉の加工・販売や、皮を利用した工芸として町おこしをしている地域や団体も珍しくありません。生態系を保ちながら、“狩猟”→“解体”→“加工”→“継続的な資源化”のサイクルを作るには何が必要なのでしょうか。
今回は、捕獲された鳥獣の有効利用と地域活性化を目指し、製品化を行なうプロジェクトのリーダーにもお話を伺います。
●猟師がみた野生動物と人間の持続可能な共生●
東北には“マタギ”と呼ばれる伝統的な狩猟・採集を生業として続ける人たちがいますが、高齢化や後継者不足という問題が起こっています。そんな中、光明となっているのが、自然学校職員や農家などを営みながら、狩猟に携わる若手猟師の活躍です。今回、半猟半Xとして地域で狩猟を続ける展望と課題をお話いただきます。
白神山地のマタギの生き方に自然との共生観を学ぶエコセンエコツアー(9月21日、22日、23日)はこちら
エコセンでは、昨年度から野生動物をテーマにさまざまな活動をしています。“獣害”は、里地里山住民だけでなく、都心部に暮らす人々が関心をもってこそ、多面的な課題が見すえられ、解決の道も見えてきます。
エコツーリズムに関わる大勢の人たちが全国から集まるエコセンのシンポジウムでは、共通の課題を持つ人々が集い、新たなネットワークと協働を生み出してほしいと願っております。ぜひ皆さまのご参加をお待ちしております。
ライターとして、全国各地を歩き、多くの地域の現状を知る鹿熊氏。今回は、獣害やジビエの概要をお話いただくと共に、現場の実情を良い面、悪い面含めて、リアルにお話しいただきます。
[かくまつとむ]1960年、茨城県生まれ。評論からインタビュー、特集企画、通販の文案支援まで請け負う活字のひとり総合商社。雑誌界を中心に生息し、一人称の原稿を筆名のかくまつとむ、三人称の取材記事は本名の鹿熊勤で書いている。ライフワークは自然から生まれた知恵の記録。著書に『葉っぱで2億円稼ぐおばあちゃんたち』、『仁淀川漁師秘伝』、『木を読む』(いずれも小学館)、『江戸和竿職人歴史と技を語る』(平凡社)、『日本鍛冶紀行』(WPP)、『紀州備長炭に生きる』(農文協)など。
NPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクト 生産メーカー部会 副代表理事
皮革タンナー山口産業株式会社専務取締役
捕獲された鳥獣の排出皮の有効活用として、皮革製品を戦略的にブランド化する“あなたの町のMATAGIプロジェクト”で、対馬(長崎県)のシカや美郷(島根県)の山くじら-イノシシをいかにしてスタイリッシュな皮革製品に作り上げるのか。異業種で協力して進める獣害対策の最新事情をご報告いただきます。
[やまぐち・あきひろ]1967年、東京都生まれ。革職人の傍ら、国内メーカー・デザイナー、そして小売店間の様々な交流を円滑に行うため、2010年日本製造者協議会を設立し事務局として活動。皮革販売サイト「革創庫」の運営をはじめ工場見学会の開催では、小学生から百貨店バイヤーまで年間2,000人の見学者に本革の魅力を伝える活動を行う。墨田区ものづくりフェア実行委員、革のまちすみだ会代表を通じて、墨田区皮革産業を動的社会とし価値向上にも努めている。
自然学校でガイドを務めるかたわら、シカ猟に取り組む。きっかけは、ガイドをする中で、「森のバランスが崩れている」と感じたこと。のちに「獣肉を活用する」「貨幣経済から自給生活へ」と自分自身の意識の変化。地域ぐるみでの捕獲プロジェクトに取り組み、最前線で獣害と野生動物との共生を見つめる。
[いど・なおき]第一種猟銃免許、罠猟免許を所持している、猟師3年目。ホールアース自然学校職員であり、半猟半ガイドの生活を営む。学生時代は「鹿と森の関係性」について研究しており、現在、狩猟活動と同時に森づくり活動にも取り組んでいる。
フードコーディネーターの添田美穂子氏による料理をお酒といっしょに堪能いただきます。同時にワールドカフェ方式のディスカッションでさらに議論を深めたいと思います。
1.ロースト鹿 ~エビヅルソースで~
2.猪肉のラグー~トマト煮込み~
3.熊キャベツ炒め
4.鹿レバー・ハツのソテー
波賀町自慢のジビエ料理。自然豊かな波賀町から、伝統的で身体に優しい「ジビエ料理」を2年かけて料理長や地域の皆さんと開発。波賀町のジビエ料理は鹿肉を使用。
【ジビエハンバーグ】
鹿肉をしっかり使った独自のブランドでジューシーに仕上げました。
【ジビエシチュー】
驚くほど柔らかい、トロットロに煮込まれたお肉が絶品です。
【鹿肉しぐれ煮】
ピリッと山椒の効いたしぐれ煮はおつまみにもピッタリ!
【鹿ちゃんコロッケ】
じゃがいも、かぼちゃの2種類。2時間かけてワイン煮込んだ鹿肉をミンチにしてコロッケにしました。かぼちゃコロッケはニラを入れ、チーズを中に包みます。
【猪丼まんじゅう】
猪肉、玉ねぎ、ねぎ、糸こんにゃくを入れて煮こんだ具を、中華まんじゅうの皮に包みます。
※メニューは変更になる場合がございます。
鹿の獣害は、樹木の樹皮の剥ぎとりなどですが、その肉は美味しく“ヘルシー”として知られています。牛・豚・鶏よりもタンパク質が多い肉は、脂肪分・コレステロールが少なく、また、魚の赤身などが多く持つ鉄分も多く含むため、フランス料理でも多く利用されています。また、エゾジカは北海道のみに生息しており、本州のニホンシカに比べ一回り大きく、強度な枝角を持ちます。
猪の獣害は、田畑に進入し農作物を食い荒らしまいます。特に、土の中の生物が好物なため、 鼻で地面を掘り起こし大きな穴をあける獣害をおこします。しかし、その肉はダイエットに良いといわれています。カロリーも豚や牛肉に比べても低く、成長期に欠かせない良質のたんぱく質をはじめ、疲労回復や皮膚の健康、新陳代謝を促すビタミンB群が豊富に含まれています。
熊の獣害といえば人身被害ですが、九州での絶滅など生息数が減少しています。肉はクセがなく、香ばしいコクがあふれています。熊鍋にすれば、動物性たんぱくと食物繊維やビタミンなどが同時に摂取できる優れものの料理になり、また、コラーゲンもたっぷり含まれているため、女性にも喜ばれています。熊の胆のうは生薬にするため乾燥させ、脂は精製して切り傷や手あれに効くクリームとしても販売されています。
レポート |
2回目となりました、ジビエ料理に親しみながら獣害について考える『エコセンガーデン』が
今年も盛大に開催されました。 今回は、様々な分野の方が約50名参加されました。
第一部は3名のゲストによるシンポジウム。フリーランスライターの鹿熊勤氏からは野生動物・獣害の全般についてお話いただきました。実は、獣害は近年だけの問題でなく農耕が始まってからずっとあったということ。しかし、近年の社会の意識の変化、温暖化・生態系変化による個体死亡率の減少で深刻化していることなどをお話いただいたと共に、対策や付き合い方を教えて頂きました。
メイド・イン・ジャパンプロジェクトの山口明宏氏からは野生動物の革としての利用についてお話いただきました。実際に、獣害対策で獲られた野生動物の革をなめしている山口氏。動物愛護の視点や、高級などのイメージから革離れが進んでいますが、丈夫で清潔な特徴をもつ本革の魅力や、日本人と革の歴史について教えて頂きました。
ホールアース自然学校の井戸直樹氏は実際に狩猟を行う猟師さん。きっかけは、ガイドをする中で、「森のバランスが崩れている」と感じたこと。また、自然学校のガイドと猟師は繁忙期と重ならず相性のよい職業なのだそうです。猟の一連の流れや、静岡県の獣害の実態、自給率の向上(肉の獲得と、物々交換)など猟の第一線で活躍されるお話を聞くことが出来ました。
第2部はいよいよジビエガーデン!シェフはフードコーディネーターの添田美穂子氏。個体によって特徴が違うジビエ肉の調理方法のコツから、我々の血肉になる食材へ、獲るところから臭みがないよう処理してくださった猟師さんへの敬意の思いなどをお話いただきました。
料理はどれも美味しく、「本当にジビエのお肉なの?普通のお肉みたい!」と言うものから「こんなジューシーな肉は食べたことがない!さすがジビエ!」と言うものまでありました。
そんな料理を食べながら、第一部でお話頂いたゲストと一緒にトーク。各テーブルを20分おきでまわってくださり、「獣害×革のコラボの可能性と課題は?」「獣害は獣害でも、熊と猪・鹿では全く違う問題ではないだろうか」「とにかく臭みのない肉にする為の方法をとにかく教えて欲しい!」など、ざっくばらんな質問から、突っ込んだ事話して下さいました。参加者の皆さまどうしの交流も深めながらの大変充実した時間となりました。
皆さん、それぞれ新しい発見や今後への展望をえがけたシンポジウムは、時間を大幅にオーバーしながらも「もっと話したかった」との声がたくさん寄せられた、実りある会となりました。今回、16時開始と早い開催だったのにも関わらず多くの方にお集まり頂き本当にありがとうございました。
最後に、今回「ジビエな会場に!」とボランティアの方々が一生懸命会場を手作りして下さいました。ありがとうございました!
【日 時】2012年10月11日(木)16:00〜20:00
【会 場】日本エコツーリズムセンター
東京都荒川区西日暮里5-38-5 特設会場
※山手線の線路沿いの道からお越しください。
【参加費】3,000円
※当日はマイ箸・マイコップをお持ちください!
【お問合せ】日本エコツーリズムセンター
TEL:03-5834-7966 Fax:03-5834-7972
【お申込み】下記のお申込みフォームまたは電話、ファックスで
お名前、メールアドレス、住所、ご連絡先電話番号、所属・肩書きを
日本エコツーリズムセンター事務局にお知らせください。
※このシンポジウムは、一般社団法人セブン-イレブン記念財団の公募助成を受けて実施しています。