[2013.10.25-27]野生動物インタープリター研修会《上級》in岐阜
野生動物と人との関係性をあらためて見つめ直し、共生のありかたを探るインタープリターを育成する講習会の上級編を自然豊かで環境教育と狩猟の取組がさかんな岐阜で開催します。
■野生動物と人をつなぐインタープリター
インタープリテーション(以下、IP)は、触れたり感じたりできるものを通してその背後にあるメッセージや価値を伝えるための技術です。野生動物を素材にしたIPでは、ただ単に野生動物を見せる、あるいは存在を感じてもらうだけではなく、その体験を通して背景にあるもの(「生きものと人とのつながり」「人と動物との軋轢」「乱獲問題」「外来種」など)を伝えることが重要です。
この講習会では、そんな生態や魅力そのものだけでなく、人との関係性や背景をも伝え、プログラム化や地域の課題解決のために行動し、野生動物と人との共生を目指す “野生動物インタープリター”を育成します。
■知る→理解する→伝えるの3ステップ
複雑化する野生動物との関係性を伝える人材を育成するために、プロジェクトの発案者である小林毅さんらは、3ステップに分けた講習会を企画しました。
初級では「野生動物を知る」。ウォッチングやプログラム体験を通して、野生動物インタープリテーションを知る入門編です。
中級では、野生動物と人との間に存在する課題について「理解する」。 狩猟や管理といった現状の関わり、獣害などの課題を学びます。
そして上級では、野生動物を通してその背景にあるものを伝えられるIPの仕上げです。 IPの伝える技術やプログラムを通して、野生動物と人とが抱える問題を解決へ導く ための活動案を企画するなど、具体的に「行動する」人材を育成します。
地域の鳥獣害防止計画や野生動物保護管理計画にも住民への啓発は課題のひとつです。地域ぐるみの鳥獣対策ひいては、持続可能で元気な地域づくりのために、現状を正しく伝える野生動物インタープリターは必要不可欠な存在となるはずです。
■上級は岐阜をフィールドに
上級編は自然豊かで環境教育と狩猟の取組がさかんな岐阜で開催します。
主任講師に、斬新な切り口と遊び心あふれるプログラムが得意とし国内外でインタープリターとして、日本社会の未来のために環境教育指導者を養成する岐阜県立森林文化アカデミー講師として活躍する、萩原ナバ裕作氏を迎え、中級編講師・井戸直樹氏、研究者の視点でインタープリターを実践する青木雄司氏、国の野生動物管理などに長く携わる経験をもつ国安俊夫氏などにも登場いただきます。
第一線で活躍する講師らの経験と知見から、さまざまな側面を持つ野生動物の価値を多面的に捉え、獣害や野生動物との 関係の現状を知り、深く考え、ディスカッションすることを通して自然と野生動物と人との課題を 理解し伝えるインタープリターを目指します。
野生動物の生態や魅力を伝えるスキルを学ぶだけでなく、人と野生動物との関係性を考え、 地域の課題解決のために行動するスキルと経験を身につけましょう。
皆さんのご参加をお待ちしております。
初級・中級を受講していなくても上級は受講可能です。
野生動物インタープリター《初級》の内容は こちら。
野生動物インタープリター《中級》は9月28日から30日まで実施する静岡県・富士山麓の内容は こちら。
野生動物と人との関係は図のように多面的であるが、日本人の野生動物観は、文化・宗教・倫理的に深くて広い。そのような背景も伝えられるインタープリターを目指したい。
動物を見せずに伝える、ねらいをさだめる。狙いが参加者に伝わったか?真剣勝負でプログラムを企画する。
環境教育、猟師、行政、研究者…。多様な講師陣さながら、人と動物の関係にまつわる人たちは、背景や考え方もさまざま。野生動物と人との共生は、行政や専門家、農山村の住民だけで考えるものではなく、全国民で考えるべき課題。
講習内容
野生動物とのつながり、ワイルドライフ・マネジメントの側面から考えられる価値を、①狩猟「ハンターの目で見る」、②資源「レンジャーの目で見る」、③学術的「研究者の目で見る」、④倫理的「共に生きていることの理解」の4つに分けて多面的に捉えて、それぞれの背景を学びます。
倫理的な価値を知るために、森の中で独りで一晩過ごし、野生動物の存在を感じます。野生動物に近づいた経験を血肉に、インタープリターとしての経験値と幅をアップします。
教育的な視点で、三日目のフォーラムに向けて野生動物プログラムを企画。傷病鳥獣保護や異なる動物観をもった人とのコミュニケーションなどをシミュレーション実践する。
同時期に郡上で行なわれている狩猟者のフォーラムに参加し、「野生動物がつなげる人と人~野生動物との共生を目指して」をテーマに、行政、研究者、農山村の方たちをはじめ、学生、企業、愛護団体、家畜を飼う人、ペット愛好家、アーティストなど動物にまつわるすべての人を対象のフォーラムを開きます。講習会参加者は、企画したプログラムを実践してミニ・ビジターセンターをオープンし、異なる立場の人たちとともに、野生動物との共生を目指します。
講師
萩原ナバ裕作 |
1971年埼玉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。二十歳のときに、日本のインタープリターの父・小林毅氏に出会って以来、国内外で自然の面白さ、素晴らしさを伝える人=インタープリターとして幼児から大人を相手に様々な環境教育プログラムを展開。99年からは日本、タンザニア、オーストラリアを舞台に自然番組(ドキュメンタリー)制作に携わる。その後、オーストラリアのタスマニア島でエコツアーガイドとして永遠に暮らす予定でいたが、日本でインタープリターを養成する学校が岐阜県にできたことを知り、急遽帰国し、環境教育コースの講師となり、たくさんの学生にインタープリテーションを教えている。
2009年、野外自主保育「森のだんごむし」設立、2012年「みのプレーパーク」設立の仕掛け人。
[岐阜県立森林文化アカデミー 講師 ] |
井戸直樹 |
1976年大阪府生まれ。アウトドア体験と狩猟や自然農などの生活体験を作り上げる“森のたね”代表。富士山麓で地に足をつけた生活を目指し、狩猟&自然農畑に挑戦しながら、ホールアース自然学校でインタープリターとして働く。2009年に第一種銃猟狩猟免許所得。富士宮でぶつぶつ交換市や皮利用の製品開発も手がけ、仲間を広げている。一方、2012年は環境省の地域ぐるみの捕獲推進モデル事業を担い、わな猟技術講習会、ジビエ料理研修などを実施。「自然学校的野生鳥獣対策のススメ~利活用編~」講座など、狩猟の理解促進や人材育成を行い、地域をつなぐ役割も果たす。
[森のたね 代表/ホールアース自然学校非常勤スタッフ] |
国安俊夫 |
1951年兵庫県生まれ。大学では自然保護サークルに所属。74年設立後3年目の環境庁(現環境省)に入り、2006年まで、主に自然保護管(レンジャー)として1~3年の間隔で北は稚内から南は石垣島まで全国を転勤しながら、国立公園、国設鳥獣保護区、自然環境保全地域などの管理や保全・整備、絶滅に瀕している野生生物の保護、自然保護思想の普及・啓発などに従事。現在は群馬県内を中心に環境教育の普及に携わる。また、日本自然保護協会認定の「自然観察指導員」として、自然観察を通じた自然保護思想の普及をライフワークとしている。 [ぐんま環境教育ネットワーク事務局、ぐんま自然観察指導員会理事、全国草原再生ネットワーク監事] |
青木雄司 |
丹沢大山国定公園のビジターセンターで、インタープリターとして15年の活動経験を持つ。環境省のすすめるモニタリングサイト1000里地調査の検討委員会として哺乳類調査に関わる。市民参加による哺乳類調査の可能性を模索している。日本哺乳類学会、日本鳥類学会所属。著書に「丹沢自然ハンドブック」(共著、自由国民社)、「かながわの自然図鑑〈3〉哺乳類 」(共著、有隣堂)、「鳥との共存をめざして―考え方と進め方」共著、(中央法規)] [神奈川県立生命の星・地球博物館外来研究員/モニタリングサイト1000検討委員] |
講習会概要
野生動物インタープリター研修会《上級》in岐阜
【日 時】2013年10月25日(金)~27日(日)
【場 所】岐阜県立森林文化アカデミー(岐阜県美濃市曽代88番地)
【参加費】学生割引:20,000円、エコセン会員:25,000円、一般:27,000円
(現地までの交通費、宿泊・食費、交流会費は含みません)
*宿泊費は別途:1,000円
【主 催】NPO法人 日本エコツーリズムセンター
岐阜県立森林文化アカデミー、東海IPネットワーク
【申込み】下記の申込みフォームよりお申込ください。
※この研修は一般社団法人セブン-イレブン記念財団の公募助成を受けて実施しています。
スケジュール
初日 10/25(金)
10:00 集合
二日目 10/26(土)
9:00 講習開始
19:00 講習終了。情報交換・懇親会ほか
22:00 就寝予定
三日目 10/27(日)
7:30 移動開始。郡上の「狩猟サミット」へ
9:00~ 「けものフォーラムin狩猟サミット」~野生動物がつなげる人と人 野生動物との共生を目指して~
15:30 解散
※スケジュール・内容は天候やその他の事情によって変更する場合があります
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