[2007.09.28]

自由な組織を目指して。
エコセンの第1回コンセプトワークを
ご紹介します。

■コンセプトワークとは

エコセンは新たな組織のカタチを模索していきたい。

日本エコツーリズムセンターの執行部が基本的にすべてを決めて動かし、メンバーは名前を連ねているだけ、という組織にはしないように、折々、出来れば年3〜4回、メンバーが自主的に集まり、組織と活動の基本方針を議論し、ビジョンをつくるような運営を目指しています。コンセプトワークとは、そうした場のことです。

以下、エコセンの世話人とオブザーバー19名が参加した2007年9月28日の第1回コンセプトワークの内容の一部をご紹介しましょう。

 

エコセンコンセプト会議全体

 

※下記内容は参加者の自由な発言をそのまま掲載したものであり、事実関係の検証は行っておりません。掲載の目的は、自由な発言の場としてコンセプトワークが開かれていることを示すためのものであり、その内容は日本エコツーリズムセンターの総意を示すものではありません。また、個々の内容についてのお問い合わせはお受けできません。

■参加者

重 政子 [(特)自然体験活動推進協議会 副代表理事]

長与純三 [シニア旅行カウンセラーズ 代表理事/元日本エコツーリズム協会 事務局長]

福井 隆 [東京農工大学 客員教授]

柴田礼子 [(株)サイヴォースソーシャルビジネス事業部]

田村孝二 [(株)カントリーレイクシステムズ 代表取締役/

      (特)富士山自然体験推進協議会 副代表理事]

国安俊夫 [小田急電鉄(株) 法務・環境統括室プロジェクトマネジャー]
嵯峨創平 [(特)環境文化のための対話研究所 代表]

海野義明 [(特)オーシャンファミリー海洋自然体験センター 代表理事/
      (特)海に学ぶ体験活動協議会 代表理事]

中根 忍 [やんばるエコツーリズム研究所 代表]

城之内有子[エコツアーコーディネーター] 

宮川 浩 [自然環境研究センター 部長代理・主席研究員]

森 高一 [(株)アーバンコミュケーションズ 環境プロデューサー]

小林 毅 [岐阜県立森林文化アカデミー 教授/(株)自然教育研究センター 顧問/

      日本インタープリテーション協会 代表

佐々木豊志[くりこま高原自然学校 代表]

川嶋 直 [財団法人キープ協会 常務理事/

      立教大学異文化コミュニケーション研究科 客員教授]

広瀬敏通 [日本エコツーリズムセンター 代表理事/ホールアース自然学校 代表]

山中俊幸 [日本エコツーリズムセンター 事務局長/

      エコツアー・ドット・ジェイピー編集人]

尾引美代 [エコツアー・ドット・ジェイピー編集部]

吉田 香 [エコツアー・ドット・ジェイピー編集部] 以上19名

 

■参加者自己紹介

以下、キーワードのみピックアップ

 

●東京発でない運動がエコツーリズム

 

●地元が受け入れるやり方が今必要

 

●地域全体がミュージアムとなる

 

●全国各地域の声をつなげていきたい

 

●普通の人の普通の感性をすくい上げる

 

●エコツアーはエコセンがやるべきことの一部

 

●エコツーリスト(旅人)の視点を大切に

 

●異分野やメディアとの連携を積極的に

 

■討議

今日のお題は、「エコセンとは何者か?」「エコセンに何ができるか」。

《地域のベクトルは作れるか》

●地域とは行政、顔役、縄張り、いろんな意味で手がつけにくい。いつになってもよそ者だったり。とくにガイドにはよそ者が多い。そのための対立、なじめない。ハードルが高い。実力を示せば認めてもらえる。

 

●合意形成に重要なのは将来の夢の共有、ベクトルの共有。 自然や環境などの「地域資源」が今は資源をお金に替える方向が主流であり、「死源」となっている。それを命の源に変えるようにベクトルを示すこと。

 

●エコツアーというより、エコシステムのツアーというほうが目的的な実態に合う。この「エコシステム」には地域住民なども入る概念。地域全体(人・自然・文化)と指す。現在のエコツアーをこうした概念に変えていくことが必要。

 

●自然だけでなく生活文化と人を含めたエコツーリズムとエコツアーが注目されており、環境省のエコツーリズム推進会議でも「日本型のエコツーリズム」として議論された。

 

●エコは風土とつながることが大事。

 

●三宅島など、地域が生きているところでは場と気を読める子どもが育っている。子どものときからしっかりと場を持っている。

 

●気仙沼のように自分たちで生活文化を掘りおこしていく。そこにNPOが加われば同じベクトルが作れる。

 

●エコミュージアム エコミュゼ オイコス(家)。家庭には環境の面、経済の面両方ある。そこに人が関わっていると捉えている。

 

●誰にでも生活圏、文化圏、経済圏、行政圏という地域を持っている。生活圏と文化圏に絞りたい。


《地域の壁》

●問題は地域に馴染めない、よそ者とされる。そういった地域とどうかかわっていくか。

 

●13年目で初めてわかった。仁義が大切。地域側の事情を踏まえずに手前勝手に入り込むのは絶対ダメ。

 

●まず挨拶、酒を飲む、地域の昔話を聞こうとする態度。

 

●エコセンが地域の事業者と組む場合、地域にきちんと受け入れられている人か、見極めないと、共倒れになる。

 

●外から来たので何をやっているか見えない。お前は誰か説明しろと言われる。うわさが広がる、説明すると、難しい話はいいと言われ、どうしたらいいのか。学校便りやニート、不登校をテーマにしたら、地元メディアが取り上げてくれ、地域の人が協力的になり、活動を助けてくれるようになった。

 

●長野では山村留学の子供から活動が始まった。子どもらは実に生き生きしている。でも地区の人からは『あそこは子供を抱えてなにやってるんだ』といわれる。来て見てもらえばわかるが、なかなか理解されない。地域との付き合いにはマニュアルがない。文句を言う人につきあってると活動できなくなるという側面もある。

 

《地域の価値観》

 

●地域の価値観がどこを向いているか。共有する仕組み、きっかけ作りは。地域には日常生活にいっぱいヒントがある。おみやげ、葬式…。隣組に入る審査をすると言われたときには敷居の高さに驚いた。あまり引いていくこともない。方法論さえ間違わなければ、発掘しないといけないものがたくさんある。

 

●地域の価値には住む人のアイデンティティが絡むので、自分の価値の押し付けは危険。

 

●だからこそ、地域ですでに活動している人と組むことの意味がある。

 

●地域という言葉の使い方。東京の対極みたいな使われ方はどうか。住んでいる人がいる地域。

 

●Local=地方と、Community=地域とが混在して使われている。街と田舎の問題か、活動の場と生活の場(Think globally  Act locally) の問題か。

 

●仕事柄、生まれ育ったところじゃない地域に入って 客観的に見る機会が多い。すると、次第に自分の地元を見直し、改めて愛する気持ちが膨らんでくる。

 

《地域の危機》

●野生動物の絶滅はたいへん。農、林業も絶滅危惧種。自然との関わりをなくしたら生きていけない。生かし、生かされ、それを伝えて行ければ。

 

●地域はあっぷあっぷ。知恵、第一次産業がなにもなくなってしまう。教育者なんて言い方をしたら排除されるが、何らかの守るアクションは必要だし、生業だけの問題ではない。

 

●地域の価値を再創造しないと。希望を失った地域では安楽死させてくれっていわれる。

 

●民泊の事例。民泊農家の子供達のプライバシーがない。子供達の目が死んでいる。金のために親はやっていると思っている。本当に金のためなのか、子どもに理解できないとつらい。

 

●滞在型の農園で、休墾中の農地を使って1年間の契約で民宿に滞在しながら手伝う。コンプライアンス的にまったく引っかからないコーディネートの成功例。120件の問い合わせが来ている。

 

●その土地に対する愛をもっている人たちの結集体。その地域の価値をいかに上げていくか。それを私たちも担うことだ。

 

《地域自身が動く》

 

●やんばるでは地域の活性化委員会を作っている。森の希少生物の保護には捨て猫の対策が大事で、当初はそれで何になるの?だったが、ヤンバルクイナの保護につながるということが知られてきた。これ自体がエコツアーとつながっている。

 

●水俣の例。地区環境協定 白川の自然石がどんどんなくなっている。地域の協定で不法採取が止まった。こうした具体例が必要。

 

●屋久島 住民が作るエコツアーをやろう。集落の歴史を伝えてみよう。お墓の作り方、etc. すると、訪れた人が喜んでくれた。自分がガイドをやってみて地元の人が変わった。住民はエコツーリズムの部外者じゃない。

 

●水俣では、よっぽどのことがないとみんな来てくれない。最初はうちには何もないと言っていたが、メニューを作るにつれて関心が高まっていった。市は「市まるごと博物館」の商号&こんにゃくだけを用意。地元のおばあちゃんがこれをやる。売り上げの10%を地域に落とすからという仕組み。成功。

 

《エコセンの立ち位置について》

 

●エコセンの関わり方を示す。地域はお前は何者なんだって知りたがる。

 

●地域というキーワードは多様性に富んでいるので、自分の位置と人の位置を見られないと空論に終わりかねない。

 

●(エコセンが)やたらに入るよりはまず、自らの立ち位置を明確にしていこう。

 

●地域とどう付き合ったらいいのか。独自の流儀、価値観は互いに否定しない。付き合い方で大事なのは立ち位置をわきまえること。東京(中央)からその都度、専門家が地方に行脚するのではなく、地域にしっかり入っている人を立てて、その人(活動)と他地域やエコセン(中央?)との協働が大事だと思う。そういう人(活動)とつながることで、エコセンの立ち位置が見えてくるのでは?

 

●東京の人が決めたことを地域にもっていく。ジレンマだった。そうじゃない仕組みを作らないと。

 

●エコセンはそれぞれの地域で活動する人を支援する。その人を軸にエコツーリズム推進、地域再生の活動を進めていく。そうした人がいない地域は(担い手育成事業などで)発掘し、育成していく。人を立てていく仕事が大事。

 

●みんなが郷土っていうけど、それはどこ?地域って? 山梨じゃなくても、関東でも、本州でも、日本でもいいじゃない?部分と全体を見られないと。あまり、小さな(地域)単位にこだわり過ぎなくともいいのじゃないか。

 

《エコツーリズムの育て方》

 

●ツーリストのほうを見ないと。いいツーリスト作りが大事。

 

●気づきの機会を与えるツーリズム。

 

●エコツアーと言いながら、一番最後に来て欲しい観光業者が最初に来てびっくりしてしまう。

 

《コーディネーターが大事》

 

●誰が地域のエコツーリズムをマネージメントするのか、それがないとなりたたない。

 

●ガイドとコーディネーターはやはり違う主体だ。

 

●ガイドとコーディネーターはわけるべき。特化できればもっと深く、広くできるのに。

 

●地域住民が自分たちで楽しんでるエコツアーが大事。

 

●日本ではコーディネーターの養成機関がないが諸外国では大学にコーディネーター養成のコースがある。

 

《エコセンのカタチ》

●地域で現場で活躍する人が互いにつながるプラットホームが欲しかった。

 

●こうあるべきだっていうガチガチの理念をもたないほうがいい。橋渡し、伝える機能だけでいいんじゃないか。運動じゃなくてもいい。

 

●プラットホームとはそういうこと。

 

●エコセンはアジテーターでいいんじゃないか。

 

●実際には地域を変えうる運動をとくに地方では求めている。

 

●運動か否かはともかく、エコツーリズムをメジャーにするアクションは必要。

 

 

 

 

 

重

 

重政子

 

長与

 

長与純三

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福井

 

福井 隆

 

柴田

 

柴田玲子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田村孝二

 

田村孝二

 

国安

 

国安俊夫

 

嵯峨

 

嵯峨創平

 

 

 

 

 

 

 

 

海野

 

海野義明

 

中根

 

中根 忍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトボード

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮川 浩

 

宮川 浩

 

森

 

森 高一

 

小林

 

小林 毅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐々木

 

佐々木豊志

 

川嶋直

 

川嶋 直

 

広瀬

 

広瀬敏通

 

 

 

 

 

 

全体

 

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